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はじまりの時代

第9回 2000年「飛躍」
~今度は僕等が風を起こす番になった~

株式会社セブンドリーム・ドットコム

2000年1月7日に「株式会社セブンドリーム・ドットコム」のプレス発表が行われました。

セブンドリーム・ドットコムへの出資。これは、キノトロープにとってその年最大のイベントであり、日本のインターネットに与えた影響も大きかったと思う。この時、僕は初めて日本のインターネットが、ビジネスのスタートラインに立ったと実感しました。同時に僕等が大きく飛躍する準備は出来たと確信したのです。

某コンピュータメーカーから、制作の仕事でお声をかけていただいたのがきっかけです。仕事に入って6ヶ月くらいの段階で、出資しないかとお誘いを受けました。それまでの成果を評価していただいたのだと捉えています。インターネットならば、大企業と伍してやっていくスキームもある、そういうことも起こりうる産業なんだと示すことができたことは、やはりキノトロープとしては誇らしい思いです。

Web制作ガイドライン

セブンドリーム・ドットコムは膨大なコンテンツをもつWebサイトです。そこでの僕等の役割は、基本となるWebサイト制作のガイドラインを示すことでした。どんなWeb制作においても言えることですが、目標から外れないためにガイドラインづくりはとても重要です。僕等は「Webサイトの運営は基本的にクライアントがやるべき」と考えていて、その意味でも誰にでもわかりやすいガイドラインをつくる必要があるのです。

たとえば、HTMLガイドラインというものがあります。 HTMLコードやタグの規定だけでなく、サイトの構成、ファイル名の付け方、スタイルシート、JavaScript、プラグインなど、サイトを構成する要素について細かく明示したものです。そして手本となる実際のテンプレート(見本)を付録として用意します。

セブンドリーム・ドットコムのサイト制作には、多くの制作会社が分担で担当することが決まっていました。当然会社によって制作スキルにばらつきがあるため、キノトロープ内での仕様のように厳密に規定することはできませんでした。「何を最低限のルールにすれば効率よく統一性を持たせられるか」と考えながら、ごく基本的なものに絞っていきました。

難しければ、使えない。使えないものを作るほど愚かなことはない。僕等はある程度のガイドラインができあがると全社集めてガイドラインの説明会を実施しました。そこで得たフィードバックを再びガイドラインに反映させ、また説明会を開く。こうして一つのガイドラインを何度も何度もバージョンアップしていき、全員が納得するまで続けました。

ここで得たガイドライン作成とそれを浸透させるためのノウハウは、今のキノトロープのプロジェクトでも活きています。今では、大規模なWebサイトにガイドラインは不可欠で、クライアントもその必要性を承知しています。その時に、既に充分にノウハウがあるということが僕等の大きなアドバンテージとなっているのです。

マナコム、ウェブエディターズ・ドットコム

2000年3月、キノトロープは二つの関連会社を立ち上げました。キノトロープはあくまでWebサイトの構築をメインとしています。しかしインターネットをビジネスとして成功させるためには、公開後のケアが大変重要なのです。ユーザー及びコンテンツの管理サポートというフェーズによって、ビジネスの真の勝敗が決まるといっても過言ではありません。キノトロープはその専門性の高い部分を「関連会社」という形でフォローすることにしました。株式会社マナコムと株式会社ウェブエディターズ・ドットコムの誕生です。

マナコムは、「Webサイトにおけるコミュニティ」をキーワードに、インターネットを活用した顧客サポートを追究するために立ち上げました。セブンドリーム・ドットコムのプロモーションでも、ユーザーの声を商品に反映させる「欲しい!プロジェクト」というイベントをオンラインで展開し、多くのファンを作ることに成功しました。

また、ウェブエディターズ・ドットコムは、「Webサイトにおけるコピーライティング」をキーワードに、より深いサイト表現を追究するために立ち上げました。彼らはキノトロープのプロジェクトに深く関わり、プランニングからコンテンツ編集まで大きく貢献しています。

この2社は互いの強みと経験を統合させ、2001年より新会社「オーセンティア」としてインターネット上のプロモーションのあり方を問うビジネスを展開しています。オーセンティアについては次回詳しく話します。

事務所移転、新しいステージ

1999年の終わり頃から、僕等は新しい事務所を探していました。理由は二つあって、一つ目は人数が増えて富ヶ谷の事務所も手狭になってきたこと。そして二つ目は「もっといい環境」を求めたのです。キノトロープは「いいモノを作ろう、いいモノを作れる環境を作ろう」という議論からはじまったチームだということは前に話しました。僕等の普段の生活は至ってつつましいものです。みんなパンを齧って仕事をしています。しかし制作ツールや作業環境は絶対に妥協したくない。常に最高の環境を求めて仕事をし続けていくことが、僕等の永遠の目標だからです。

そしてついに僕等は、以前にイッセイ・ミヤケの事務所が入っていたガラス張りのビルを見つけました。配線工事や全面改装を施し、9月には新事務所に移りました。事務所をご覧になりたい方はいつでも連絡をください。実際にご覧になれば、僕等がWeb制作というものをどのように考え、そのために事務所をどのように機能させているかがよくお分かりになると思います。

この時、メンバーは関連会社を含めて50名を超えていました。

同志:53名

続く



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