M3 キノトロープ | 生田昌弘のWebサイト 「仕事」「情熱」「趣味」の3つがテーマです
Work Passion Interest
Passion
はじまりの時代 | Web業界の未来のために | 出会い | キノトロープの方向性
はじまりの時代

第7回 1998年「実証」
~「やれる」という自信の灯が僕等をより強くした~

量から質へ

量の時代から質の時代への転換期は、思いのほか早くやってきました。急増するWeb制作会社の数と比例して、各社のページ単価は下降の一途をたどっていきました。「効果を実証」出来ないと価格を維持できない時代の到来です。でも僕等に とって、それは待ちに待った時代だったのです。

1997年から1998年にかけて、BMWジャパン、ローバージャパン、アートネーチャーなど数多くの実証サイトを制作していきました。キノトロープが、1994年に見た夢が実現した年でもありました。

以下に目的別に制作したサイトを紹介しておきます。過去の仕事とは言え、基本的な戦略やコンセプトには変わりがないと思います。実際この時代に制作した資料は、バージョンアップされているとはいえ、現在でも実制作の中で充分に活用しています。

鮮度の高い情報で販売促進

リアルタイムにWebからDBを更新出来るメリットを「鮮度の高い情報の提供で販売促進」と言う目的に落とし込んでローバージャパン株式会社等のサイトを立ち上げました。

本的には、DBに登録された中古車情報が検索できるシステムです。ユーザーに見える部分は検索及び結果を表示したページのみですが、各地のディーラーが情報を操作するための管理画面が大きなポイントなのです。このDBは、各ディーラーの担当者が、ブラウザから自分で打ち込んだものであり、またクルマの写真データも簡単に登録することができます。さらに本社用のページもあり、ディーラー情報、店舗情報及び車種情報もブラウザから管理可能となっています。

単にユーザーがDBにアクセスし、そのデータをブラウザに表示できるだけでなく、Web上から簡単に全ての情報を制御できることにより、管理者の負担軽減と、実際のビジネスに生かせる「生きたDB」の構築が可能になるのです。

そのために僕等がしたことは「誰(スキルの低い人)にでも利用可能なインターフェース」や「それを実現するシステム」の構築でした。実際に使うディーラーの皆さんが快適に使いこなせるシステムでなければ、意味は無いのです。

ブランドイメージの浸透と新規顧客の獲得

「ブランドイメージの浸透と新規顧客の獲得」の目的でJ-PHONEのサイトを制作しました。 J-PHONEには、2つのホームページがありました。1つは情報を分かり易く整理した企業サイト。もう一つは、見た目のわかりやすさよりもユーザーの感性を刺激するイメージサイトです。

僕等が手がけたのは、後者のサイトで、ユーザーをコンテンツに集中させるために数多くの手法を組み合わせました。たとえば、別ウィンドウで表示するナビゲーションパネルは、左方にあるダイヤルをラジオのチューナーの様にマウスで操作することによって、メインのページが変化する仕掛けになっています。実は決して使用しやすいインターフェースとは言えないのです。しかしインターフェースがユーザーにとってエンターテインメントになる時、ブランドイメージの浸透が可能になるのです。

僕等は、Webサイトはユーザーを選択すべきだ、と考えます。伝えたい情報とターゲットが絞れているのならば、インターフェースでユーザーを振るいにかけるくらいでないと効果は上がらない。これはマス広告とは全く異なる考え方ですよね。アメリカでは、ナイキなど数多くのサイトがこの手法に基づいてサイトを構築し、成功を収めています。 J-PHONEの事例は、当時日本ではまだ数少なかったインターネット上のブランドイメージ構築例です。

自信と信頼

このほかにも、掲示板を活用したきめ細やかなユーザーサポートを、担当者のブラウザ上から可能にするシステムを提供しました。インターネットの知識はなくても、実際の担当者がユーザーをサポートできるようになります。合理的なサポートを行う「ベネッセコーポレーション」や、CD-ROM販売との連動によりCD-ROMに欠けた点と、 インターネットに欠けた点を補完し合う「谷村有美Webサイト」などの制作を行いました。

それからこの年は、講演も数多く行いました。明らかに市場はWebをビジネスとして活用する方向に動いていました。 Webで失敗した企業の担当者が、自ら本格的に情報収集を始めました。そのため講演会やセミナーのニーズが非常に高かったのです。 MACWORLDExpoTokyo'98、AppleCreatorPortfolio、CnetWebBusinessコンファレンス'98など10数回に及びました。

また1997年に立ち上げたウエブデザインコンソーシアムも2400名の会員を数えるに至りました。中には制作者だけでなく、クライアントの立場の人や、これからWebに携わっていこうという学生も多く参加していました。誰もがWebの知識を求めていました。そんな中で僕等は、自社の利益だけでなく、Web制作業界全体の進化と発展に寄与できる信頼も次第に培われていったのです。

僕は、立ち上げ当時想い描いていた「こんな制作集団でありたい」という想いに近づいているのを感じました。同時に、優れた32名のメンバーと共に次のステージの存在を確信したのです。

同志:32名

続く



Copyright(C) 2008 KINOTROPE, INC. All Rights Reserved.
このサイトについて | Profile