こんにちは、キノトロープの濱田です。
この連載ではWeb担当者の皆様からいただいたお悩みに答えていきます。
本日のお悩みは下記です。
最も多いのは「何を選んでいいかわからないので、最適なCMSを選んでください」とご相談いただき、制作会社が最適なCMSを提案するパターンです。
一方で、情報システム部がある企業の場合などは、ある程度CMSを決めてご相談をいただくこともあります。その場合、ある程度お客様が選定した後、それに対してメリット、デメリットをご提示し、Webサイトリニューアルのゴールを達成するために最適かどうかを議論して進めていきます。
では、あらかじめCMSが決まっている案件の場合、どういった理由で決まっているのでしょうか。
お客様としても何かしらの理由があって選定をしていると思いますが、ご質問者様は「社内である程度決まっているけれど、本当にこれで良いのだろうか…」という不安があるのではないかと思います。
では、CMSが決まっている場合どのような事情から決まっているのか考えてみましょう。
まず一つ目として挙げられるのが、リニューアル以前からCMSを使っていて、それを中心に考えている場合。
以前から使っているものであれば、コスト面や使い慣れているという点でメリットがあります。
次に、CMSのベンダーから提案があった場合。
お客様でCMSについて調べようと思っても商用のCMSについてはなかなか調べきれず、名前はわかっても中身まではわからない、ということも多々あるのではないかと思います。
そこで、ベンダーから具体的な中身も提案してもらい、視野に入れ検討しているということが考えられます。
どちらの場合も「これがよさそうだな」といった検討度合いで、「これを導入したい!」と決めているということはあまりない印象です。
なぜCMSの選定を含めてご提案するケースが増えているのか、その理由について考えてみましょう。
極端な言い方をすると、CMSは何を選んでも問題ありません。
お客様の相談を受けていると、セキュリティの問題など最低限クリアしたい要件はありますが、CMS自体に特別な要望はないことが多いです。
それよりも、Webサイトの構築やリニューアルで成し遂げたいことがはっきりしており、「成果を出したいので、それに最適なCMSを提案してください」といった、Webサイトへの意識が変わり、期待が高まってきていると感じる要望が増えました。
また、RFPを書いたり、コンペなどを依頼する時点で社内でいくつか候補は出ているものの、あえて提示せず制作会社に選定をゆだねるお客様も増えているように感じます。
その背景には、いろいろなCMSを扱っている経験から、特定のCMSにとらわれず、求める成果に対して最適なCMSを提示してほしい、そういった制作会社への期待があるのではないかと考えています。
プロジェクトが始まってから、要件定義のPhaseなどで何をしたいか明確にして、それを踏まえて最適なツールを決定するのが理想ではありますが、プロジェクトには予算があります。
CMSには無料のオープンソースのものもあれば、ライセンスで1000万といったものもあるため、元々は無料のCMSの導入を考えていて、要件定義が終わるとツール費用で数千万、ということになってしまうと発注前の予算を大幅に超えるということも起こりかねません。
ある程度当初の段階、発注前の段階で、最低限のメンバーだけでも「何をしたいか」のコンセンサスを取り、提案をもらうようにすると、CMSのライセンス帯が絞られてくるのではないかと思います。
すべてを最後に決定するのは難しいため、少し条件をつけて選定しておき、RFPに記載しておいて、制作会社から提案を受ける段階でそれが適切なものになっているのかを確認しましょう。
制作会社がCMSを選定するにあたって、お客様から提示いただく条件は多くはありません。
・コスト
・目的・目標
・納期
最低限、この3つさえ明確であれば他はなくても構いません。
逆に、CMSの機能要件ばかりを決めてしまうと「その機能をクリアできれば成果が出なくても良い」といった提案になりかねません。
また、目的・目標以外の制約が生まれてしまうと、それをクリアするためのCMSを探すといった作業になり、成果から遠ざかる恐れもあります。
企業によっては、ツールを導入する以上セキュリティ面などの制約条件は発生することがあります。
CMSアプリケーションをインフラ環境にインストールして使う場合が多いので、例えば、お客様で用意されている環境の中に納めるという規定があった場合、「その環境で動く」ということが最低条件となります。
そのため現状のインフラ環境を提示していただけると、より検討しやすくなります。
それ以外によくある要件としては、「冗長化構成以上であること」「社内でも特定の人のみアクセスを許可すること」などがあり、場合によっては対応出来る環境の構築やCMSの用意が必要となります。
そういった前提条件の提示があると検討しやすくなります。
また、上記のような要件をクリアするために少なからず費用の変動もあります。
冗長化に対応する場合、CMSを複数台に導入する必要がありますし、その他、Webサイトの規模感、CMSをどう活用するかによって費用は変動してきます。
そのため、実際の数値を提示していただく必要があります。
例えば、アクセス数がとても多いWebサイトだとそれに対応できるインフラの構成が必要になりますし、絶対にサーバーがダウンしないような条件として稼働率99.999%以上を求めると費用対効果の担保が難しくなります。
このような場合、実際のご提案時は現実的な構成で提案しますが、その条件によって費用は上下します。
上記の理由から、アクセス数やWebサイト、システムは何台で運用しているのか、運用者がどれくらいかといった規模感がライセンスやCMSの費用に直結するのです。
Webサイトの規模感を定量的に示し、成果や納期といったプロジェクト目標もしっかり決まっていると、よりお客様のお悩みに適したCMSをご提案を受けることができるのです。
CMSの選定をどうするか悩んでいる、という方はサイトリニューアルなど大きなプロジェクトのスタートラインに立っているのではないかと思います。
提案依頼書を作る際は、まず目的・目標、社内のシステム規模感を明確にして、制作会社に依頼することをおすすめします。
弊社プロジェクトマネージャー陣が、お客様からのお悩みに対して、動画でもお答えしています。