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Webサイトが成し得た新たな経営戦略

「個人別学習法はKUMONの絶対的確信」

企業にとっていちばん大事なことは何かというと、その会社の存在意義です。その会社の持っている商品とかサービスがどういった「志」(こころざし)のもとに提供されているかということ。

KUMONの場合は、これからの知識の時代、個人の時代のなかで、子どもたち一人ひとりがその能力、個性を活かすためには、やはり個人別学習が必要だと考えています。

これはわれわれの絶対的な確信でありまして、この学習法で学ぶことは絶対にその人のためになる、この個人別学習法をどこでも学べるようにすることが親切であり、日本だけでなく世界に広げるべき、という使命感を持っているんです。そういう意味では、われわれは新しい個人別学習法のエバンジェリストでありたいと考えています。

「インターネット社会に必要なのは"スキル"を身につける教育」

21世紀のこれからの時代、インターネット社会の到来をチャンスとできるかどうか、デジタルディバイドの原因とも解決法ともなるのが、やはり教育であると思います。

これまでの教育方法は工業化社会のためのものであり、その延長では21世紀の情報化社会、インターネット社会に最高の能力が発揮できる人材はつくれない。だから、教育改革にみんなが取り組んでいる。これは先進国も開発途上国も同じであり、そういうニーズがある。

先進国のニーズは大変なものです。彼等は最先端にいますから、情報革命のあとのイノベーションを考えたときに、いまの教育では限界があるという考え方を明確に持っているわけです。そういう意味ではアメリカがいちばん熱心なんですが、それ以上に可能性にかけているのは中国、韓国、あるいはアジア、南米の中進国・開発途上国です。これらの国は千載一遇のチャンスだと見ている。とくにインドやブラジルがそうです。

いままでは経済力がないといけないとか、電信柱がないといけないとか、モノ・カネ・インフラが整わないと経済発展は難しいと考えられていました。しかしこれからは違います。先進国に追いつくには何十年も、いや一世紀かかっても無理だろうという時代から、ネット社会というのはそうではないんだ、小さい国でも能力さえあれば、いくらでも逆転するチャンスはあるんだという時代に。まさに知識資本主義の時代です。

公文式は子どもたち一人ひとりにみずから考える力、知識を自ら取り入れる"スキル"をつける学習法です。高度な基礎学力をベースに、新しいものを創造する力、チャレンジする力を育む。この公文式がいま、多くの国々でブームとなっています。個人の力が問われるインターネット社会においては、公文式は世界中が求めている最高の商品、サービスと言ってもいいと思います。

「目標と確信が共有されれば、インターネットで"共鳴"が広がる」

KUMONは「人こそすべて」というのが経営の根幹なんです。KUMONの仕事は、価値観や志が何より重要な"教育"の仕事であり、それをフランチャイズという形態で、"人"のネットワークによって展開しています。こういうことを考えたときに、インターネットというコミュニケーションツールは、われわれにとっては神様がくれた新しい最高の技術だと思いました。たとえばブラジルの一社員が発信した情報が、ブラジルのみならず南米全土、さらには日本の社員の意識に影響を与え、感動の渦を巻き起こす。情報の共有にはじまって、こうした価値観、意識、感動の"共鳴"が、実際に起こっています。「教育を通じて自分たちの地域・国をよくするんだ」「世界の教育のスタンダードを作り上げて世界中を平和にするんだ」という目標を持ち、そういう確信を持った段階では、このネットというのは最高の力を発揮しますね。われわれKUMONはキノトロープさんとのパートナーシップによって、その第一歩を踏み出したのです。

「初めて出会ったイコールパートナー」

KUMONは、どちらかというと一気通貫というか、システムでも何でも最初から最後まで全部自分でやるという風土がありました。何でもかんでも全部自前で完結するような傾向があって、非常に内向きだったわけです。ですから、他社と一緒に共同してやるという経験があまりなかった。単純なかたちで他社に注文を出すということはあっても、一緒に新しいものを創造していくという経験がほとんどなかったのです。

ところが、こういう時代というのは、技術の進歩も速いですよね。マーケットの変化も速い。いまは進化する時代です。社会も変化するし、組織も進化しないと、とてもじゃないけれど対応できない。そのときに、お互いにコア・コンピタンスを活かしながら、使命をもって提携するということが絶対条件だと思うので、そのカルチャーをなんとかつくりたかった。しかし、本当に一緒にやっていくというカルチャーを築き上げてくれたのは、正真正銘キノトロープさんが初めてなんです。

「もうひとつのキノトロープ効果」

プロジェクトは2000年の11月に始動しました。KUMON=KINOTROPE PROJECTというわけで、社内ではKKプロジェクトと呼んでいました。

KKプロジェクトで得たものは、われわれの内向きのカルチャーを打ち破ってくれたこと。それはとりもなおさず、KUMONの人材を育ててくれたということです。「あ、この人がこんなに変わったか」とか、「こんなミーティング風景見たことない」という社員の変化が生じてきた。カルチャーが変わるということは人が変わるということだと思いますが、われわれにとっては人材を育成してもらった。KUMONの新しいサイトを構築できたという効果はもちろんですが、それにプラスして、社内のカルチャーを変え、社員の意識を変え、行動を変えるということで、人材育成の面で大きな成果が得られた。この点ではいくらお礼を申し上げても足りないぐらいです。

「エバンジェリストをめざすリーダーの夢に共鳴した」

パートナーにキノトロープを選択した理由? 一言で言ったら生田さん(キノトロープ代表取締役)ですね。彼とお会いして、ビビッときたものがあった。それが何なのかと考えると、われわれは、パートナーを組むというか、アライアンスをするときは、イコールパートナーで一緒にやっていきたいという思いが強いのだけれども、その場合は価値観がベースとして共通していないとだめなんですね。 そうすると、その会社の価値観、なかんずくリーダーのものの考え方、仕事観とか人生観。こんなところが最終判断をするときのいちばん大事な点だと思っているんです。

初めてお会いしたとき、生田さんは、大いなる夢を語られた。とくにキーワードとして、「インターネットのエバンジェリストをめざす」と言われたわけです。前提として、非常に高い技術レベル、アートのレベル、あるいはテクノロジーのレベルをお持ちだということはわかっていましたが、いきなりエバンジェリストという話をされた。自分たちはこんなビジネスで、こんな能力があるんだという話でなく、そこから入ってこられたのが非常に印象深かったんです。

生田さんはインターネットについて、これは単なるツールだよ、箱だよと言われる。しかし、これをいかに使うかによって、ものすごい可能性があると思っているんだというところね。謙虚に、しかし大胆に時代を洞察する力。これがイコールパートナーとしてやっていただくうえで本当に心強いわけです。

「社員の個性が集まりキノトロープのパワーになる」

キノトロープさんの社員の方々はすごいと思いました。あの人たちは社員というイメージではないですね。一人ひとりパーソナリティのかたまりみたいで、それがチームになっている感じです。梁山泊から出てきたような人ばかりですよ。

みんながフラットな位置にあり、チームとして仕事をしている。そして、チームではあるけれども、それぞれ個性があって、一つの方向に向かってまとまっている。一つの方向という意味で、ぼくの印象深い言葉は「われわれはクライアントの言うことを聞くのではない、ユーザーなんだ」というところですね。この言葉がぼくをしびれさせたすべてだったんですが、いわゆるユーザー志向(KUMONでは子どもとその保護者)が徹底しているところが素晴らしいですね。

教育改革、個人別学習法のエバンジェリストをめざすわれわれKUMONにとって、生田さん、キノトロープさんは最高のイコールパートナーと言えます。5年、10年後には、われわれ今日あるのはキノトロープさんのおかげだということになると思いますね。





Profile

杏中 保夫氏

公文教育研究会

1969年3月、大阪市立大学経済学部卒業。
同年4月、野村證券入社。野村證券常務、三洋証券専務を経て、1996年2月公文教育研究会入社。
1997年1月代表取締役社長就任。


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