こんにちは、キノトロープでプロジェクトマネージャーを務める濱です。
約13年間BtoBやBtoCのさまざまな業種・業態・規模のWebサイトリニューアルを担当してきました。
その経験からWebサイトリニューアルを成功に導くためのポイントを複数回にわたって紹介していきます。
今回はRFP(提案依頼書)の作成についてです。
Webサイトのリニューアルサイクルは一般的に3年~5年。
毎年実施するものではないため、Web担当者が任期中にRFP作成を経験されることはそう多くはないでしょう。
昔と違いWebサイト自体の規模も大きくなり、HTMLによる手作りではなくCMSツール等システム化されていることが当たり前になっている昨今。
Webやシステムに関する知識・経験が浅い場合、どのような内容のRFPを作成すればよいか、そもそもRFPはどういうものか、というところから調べる必要があります。
キノトロープでは、年間数百を超えるオファーをいただきます。
基本的にディレクションからデザイン・開発など制作に関しては、すべて内製(自社社員だけで行う、外注しない)をしているため、必然的に年間に受けられる案件の数は絞られます。
よって、残念ながらお断りさせていただくオファーも多数あります。
RFPを作る側ではなく提案する側の立場から、「こんなRFPをいただくと気持ちよく提案できる」というポイントをお伝えできればと思います。
入念に準備し、評判が良いとされる制作会社やシステム開発会社に声をかけ、提案をもらうも、コンペがうまくいかなかった、ということはよくあるようです。
私自身、過去に提案プレゼンをした中でも、結果コンペ自体が失敗していたという案件を何度か経験しています。
このようなコンペの失敗は、提案する側に問題があるのでしょうか?
いいえ、大半は依頼側のRFPの作り方・伝え方に問題があるのです。
弊社にいただくオファーのRFPをざっくりとパターン分けする場合、以下の3パターンに分けられます。
具体的に見ていきましょう。
1.については、デザイン寄りの提案依頼やキャンペーンサイト、LPサイト作成依頼等で多い傾向にあります。
発注側の担当者は、日々の運用の中でスピーディに依頼していることが多く、明確に書面化せずに口頭やメールでの依頼に頼った風土です。
「すぐにWordpressでキャンペーンサイトを立ち上げたい。詳しくは、会って説明します」といった具体に、こちらが会いに行きたくなる要素は全くありません。
この場合、依頼先を呼び出して口頭で説明しても、各社に伝える内容がブレたり、伝え忘れが起きたりします。また受け手の社内でも、口頭での伝言ゲームが起きやすいため、「伝えた(と思っていた)内容が反映されていない」となります。
2.については、RFPの作成にシステム部門が多く関わっている(システム部門の発注、システム部門がRFPを書いている、システム部門にRFPの書き方を聞いている)場合がほとんどです。
数十ページ、時には100ページにおよぶ重厚な小説のごとく、分厚く機能要求が書かれています。
利用するCMSについても指定されている、インフラや必要な機能・移行についても詳細に指定されている、でも「このリニューアルで何を成し得たいのか?」等本当に重要なことについては記述がない(伝わってこない)。
意外と多いのが、このパターンです。
「RFPとは」とGoogleで検索すれば、その意味を解説している多くの記事が参照できますが、多くの場合以下のように書いてあります。
この「システム開発」というところが問題です。
RFPは元来、依頼時から開発要件を明確に書類化する(口頭での言った・言わないを無くす)という側面が大きく、それがそのままWebサイトリニューアルのRFPに使われている場合もあります。
特にCMSを利用したWebサイトリニューアルの場合、システム開発的な側面もあるため、機能面に寄りすぎたRFPが出てくることが多くなります。
3.は、細かすぎず、粗すぎず。
重要なことも書いてあり、その上で提案に必要な情報が必要十分に記載されているパターンです。
この場合、問題なく提案作業に入ることができます。
RFPとは「良い提案をもらう」ために、必要な情報を正確に提供するものです。
必要になるであろう機能を、依頼時に無理して決める必要はありません。
それではRFPを作成すること自体が目的になってしまいます。
リニューアルプロジェクトがスムーズに進行し、あらかじめ定めた目標を達成することを目的とし、それを一緒に叶えてくれる、導いてくれるパートナーを選定するためのものととらえれば、RFPで伝えるべき内容は至極シンプルになっていきます。
あなたがRFPに書こうとしている機能要件は、本来であればプロジェクトの中でプロフェッショナルである提案側と一緒に決めていくことがほとんどであるはずです。そうでなければ、わざわざ「提案依頼書」として依頼する必要はありませんから。
プロジェクトの「目的・目標」を明確に伝えることがRFPの目的であり、記載する内容です。
どんな機能が必要か、どんなツールが必要か、どんなページにするべきかは、プロフェッショナルである提案者に委ねるべきです。
CMSのWebサイトリニューアルにおけるRFPでは、具体的に何を記載すべきか。
そちらについては、次回の記事にて軽く触れていきます。
また、キノトロープでは、RFPの書き方に関する無料のセミナーも実施しています。
スマートフォン全盛期を迎えたこれからのRFP制作についても盛り込んだ内容を予定しておりますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。