大量の商品情報を、PIM(商品情報管理システム)とCMSを連動することで効率的な運用更新を実現したソリューション事例を紹介します。
ある情報通信機器メーカー様では、基幹システムの情報とWebサイトがデータ連携していなかったため、商品情報をWebで公開するための作業や更新に多くの人手と手間がかかっていました。
PIMで両者を連携した結果、情報更新のスピードアップと大きな負荷軽減が実現しています。
プロジェクト概要
コンピュータ・通信機器・OA機器 家電・AV機器/半導体・電子部品・その他/通信/ソフトウェア
約2,000ページ
約1年半
POINT
課題
基幹システムの商品データベースがWebと連携されておらず、更新に手間がかかる
商品ページ公開まで複数部署が商品説明に手を加えるため、管理運用が煩雑
提案
CMSへの機能追加とPIMの構築
基幹システムにある商品データとの紐づけの自動化
Webサイト等の表示等で必要な見せ方に合わせたPIMの設計
成果
商品情報の更新の大幅な効率化
商品データ変更時の対応工数の削減
PIMの流用によるグループサイトの効率的な構築
背景/課題
商品データとWebサイトが未連携のため、Web公開に多くの手間がかかり、分担や管理も曖昧
メーカーの多くは、基幹システムなどで商品情報(商品名や型番、JISコードや価格、発売日など)を所持して管理しています。しかし、システムの情報とWebサイトが連携できていなかったり、連携自体はされているが運用時の課題や不満を抱えていたりするケースもよく見られます。
プロジェクトの開始前、このメーカー様は自社の持つ大量の商品情報について、以下のような問題を抱えていました。
1 基幹システムの商品データベースがWebと連携されておらず、更新に手間がかかる
商品の基本情報が変更になった場合、毎回情報をキャッチアップして、手動でWebサイトに反映しなければなりませんでした。
2 複数部署がそれぞれ手を加えるため、管理運用が煩雑
基幹システムのデータそのままではマーケティング的に使えない情報であるため、マーケティング担当や営業担当が手動で出力した商品データに対して、商品キャッチコピーや検索用のフラグなどをcsvなどで追加し、加工していました。
このような状況を打開するため、Webサイトの統合/リニューアルに際して、以下の要望をいただきました。
プロジェクトのポイントや工夫
PIMはただの連携システムにあらず!
中間レイヤーとしての役割を理解し、検索やコピーなどマーケティング的な付加情報を加える設計を
キノトロープはメーカー様のご要望に対して、基幹システムにある商品情報データの関連コンテンツと紐付けなどのアナログ作業を自動化するCMSへの機能追加やPIM(商品情報管理システム)の構築を提案しました。
商品情報データなどが格納されている基幹システムを「データ層」、CMSなど構築関連ツールが格納されている「アプリ層」、ユーザーに情報を伝えるWebサイトを「表示層」とすると、PIMはデータ層とアプリ層の間、「中間層」に位置するイメージです。
商品名や型番、価格などの基本情報を基幹システムから自動的にデータ連携されるように構築することで、基幹システムのデータが変更されたらWebサイト側も自動的に更新されるようになります。また、Webサイトやその他媒体に利用するためPIMにさまざまな機能を付与することも可能です。
PIM構築のポイントは、次の2点です。
1 基幹システムのデータ連携対象を正確に見極めること
基幹システムに蓄積されている商品情報は、多くの場合マーケティング的な観点でデータ化されていません。基幹システムに登録されている商品説明文があるからといって、それをそのままWebに転用すると、一般ユーザーにとってはそっけなく魅力的に映らない表現となってしまうこともあります。そのため自動連携に頼り過ぎることなく、連携する箇所としない箇所の見極めが重要です。
2 Webサイト等の表示層で必要な見せ方や分類に合わせてPIMを設計/構築すること
たとえば、ある機器は基幹システムの商品情報では「無線LAN」と定義されていました。しかし、検索ワード数などのデータによると、一般ユーザーには「無線LAN」と「Wi-Fi」という言葉の区別がついていない人が多いため、検索で見つけてもらうには「Wi-Fi(無線LAN)」という表記に変更した方が良い可能性もあります。
同様に、ユーザー視点で理解しやすいように商品カテゴリの分類を組み替えたり、Webサイト上での商品検索機能に利用できるように、商品にフラグやタグ付けを行っておいたりすると、Webサイトの表示がよりわかりやすくなり、ユーザーの利便性向上につながります。
成果
自動連携で商品情報の更新を大幅に効率化
グループサイトにも同じPIMシステムを流用し、エコ構築が実現
このような方針を基にPIMを構築し、基幹システムの商品情報からPIMを介したWebサイトへの情報連携が実現しました。その結果、Webの作成だけでなく、基幹システムのデータが変更になった場合の反映工数なども大きく削減されました。
また、それまで手動で行っていたマーケティング的な情報付加作業をPIMで一括管理できるようになったため、管理工数や情報発信のタイムラグも削減されています。
さらに、本プロジェクト終了後に実施したグループ会社の別サイトのリニューアルでも、本プロジェクトのPIMを流用することで、効率的な構築ができました。
メッセージ
メーカーサイトではPIMが必須になりつつある
商品情報をさまざまなデバイスに展開できるよう、データと表示を分離して管理する流れは、いまやWebの大きなトレンドとなっています。そしてCMSだけでなく、PIMやDAM(デジタルアセット管理)を導入してデータを適切に管理するケースが増えています。
PIMの構築は時間と費用がかかるものではありますが、次のような条件に当てはまるメーカーは特に、構築することで大きなメリットが見込めます。
-アクティブ商品数が300を超える
-商品の入れ替え、追加等が年に数回以上ある
-型落ち商品も掲載する必要がある
-グループ会社でも商品を販売している、もしくは姉妹ブランド等を展開している
基幹システムとWebサイトはシステムの扱いが切り離されていたり、担当部署も違うことが多いため、システムの更改タイミングが同時になることはあまりありません。同時に更改できるチャンスがあれば、基幹システム側にAPI連携を踏まえた開発を行うことによりPIMを構築することなく、効果的で効率的な連携が実現できる可能性はあります。ただし、そのようなチャンスはめったにありません。
また、CMSなどのアプリ層のツールは今後変更になる可能性が高く、早ければ3年程で変更になる可能性もあります。そうなると、CMS内に商品データベースを構築していた場合、もしくは商品データベースではなく商品ページとして構築していた場合、ツールが変更になった時点で全部作り直しになってしまうリスクがあります。しかし、PIMを構築しておけば、そういった事態も防げます。
5年以上の運用コストで計算すると、PIM活用の費用対効果は決して低くありませんので、ぜひご検討ください。
キノトロープはPIM構築の豊富な実績に基づく「CMS × PIMソリューション」がございます。
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