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<Web担当者に喝!!編 第5回>
CMSを機能で選ぼうとするWeb担当者に喝!ユーザーに何を提供したいかを明確にすべし!
についてお伝えします。

担当は生田です。

CMS導入の目的は目先の作業効率化ではなくコンテンツの一元管理によるユーザーニーズの最適化にあり、これを見失うとどれほど高価なツールも無用の長物となってしまいます。

単にページ単位で更新するだけのツールとデータを1対多で配信する本来のCMSの違いを理解し、顧客へ提供したいサービスレベルを定義することが選定の第一歩です。

自社が成し遂げたい目的と運用のスケーラビリティを明確に定義してこそ、初めて自社に最適なツールを絞り込むことが可能になります。

Webサイトの構築やリニューアルにおいて、いきなり「どのCMSがいいですか?」と聞かれることが非常によくあります。様々な施策のベースになるため、CMSがあった方が便利だという認知が広がっているのは素晴らしいことです。しかし、皆さんはCMSの本来の意味を理解しているでしょうか?

私たちは、CMSとは「ツール」ではなく「概念」であると考えています。「コンテンツ・マネジメント・システム」という名の通り、コンテンツを一元管理するものですが、問題は「何のために必要なのか」という目的です。

「お客様のニーズへの最適化」や、「閲覧しているデバイスや、ユーザーのシチュエーションへの最適化」、「将来的なOne to Oneコミュニケーションへの対応」など、「ユーザーへのサービスレベルを上げるための基盤」としてCMSは必要なのです。

それにもかかわらず、多くのWeb担当者は「何のために」ではなく「機能(こういうことはできるか)」ばかりに目を奪われています。

その結果、RFP(提案依頼書)に「静的CMS」と「動的CMS」という、やりたいことが真逆のツールが同時に選択肢に入っているような、矛盾した選定基準が生まれてしまうのです。

「ツールによって値段が違うのはなぜですか?」という質問も多く受けます。無料のオープンソースから、数千万円する企業向けまで様々です。

車であれば、何億するものと何十万のものの値段が違うことに誰も疑問を持ちません。しかし、CMSなどのITツールは見慣れていないため、同じものに見えてしまうのです。結論から言えば、これらは全く「モノ」が違います。

ここで重要なのは、「Webサイトの運用・更新を楽にしたい」という目的だけなら、高額なCMSは不要だということです。私たちは、この「CMSツール」と「運用・更新ツール」の2つを明確に分けて考えています。

CMSというのは、コンテンツを一元管理してお客様のニーズに最適化するツールのことです。一方運用・更新というのは、ワープロ感覚で特定のページを直接修正するためのツールで、お客様ニーズ最適化などの話ではないのです。

業界にはびこる「間違った営業トーク」に騙されるなWeb担当者が機能だけで選ぼうとしてしまう原因は、実は売る側(CMSベンダーや制作会社)にあります。

多くの業者は、Web担当者が日々の運用に困っていることに付け込み、「見たまま編集(WYSIWYG)でドラッグ&ドロップで簡単に変えられます」「今のHTMLソースをそのまま流し込んで移行できます」といった、目先の楽さばかりをアピールします。

しかし、「HTMLファイルをそのまま流し込むだけ」では、CMSへ移行したとは言えません。ただHTMLを別の場所に移しただけで、結局ページ単位でしか更新できず、CMS最大の強みである「データの二次利用(レコメンドや関連情報の自動表示など)」が全くできないからです。

これでは今のサイトと何も変わりません。移行すること自体が目的になってしまっては、CMSを入れる意味がないのです。CMSの基本構造におけるコンテンツの一元管理とは、データを一つのマスターから複数の場所へ効率的に配信する仕組みのことです。

本来のCMSの土台となるのが、コンポーネント(パーツ)の組み合わせです。Webサイトにおけるテンプレートはあくまでデータを受け止める器にすぎず、細分化したパーツをどのように組み合わせて構成するかが重要なポイントになります。

また、その運用の基本となるのが詳細ページです。商品情報などの最も粒度の細かい「詳細ページ(リーフページ)」に対して、すべての基本データを登録することから始まります。

ここから、データが上に向かって組み上がる仕組みが作動します。詳細ページに登録されたデータは自動的に「リストページ」へと集約され、さらにその中からピックアップされた情報が「トップページ」へと自動配信されます。

つまり、一番下層のデータを入力しさえすれば、全ページが上に向かって自動的にまとまってできあがってくるのです。これこそが、データを「1対多」で管理するコンテンツの一元管理の正体であり、Amazonなどで商品データベースから関連情報が自動的に引っ張られてページが生成されるのと同じイメージです。

もし「ページ単位」でしか更新できないのであれば、それは私たちの基準ではCMSではありません。詳細ページが変わっていないのに、リストページだけをWYSIWYGで直接書き換えてしまうと、データの整合性が崩れてデグレ(先祖返り)を起こす原因になります。

CMSを正しく機能させるということは、「巨大なデータベースを作る」ということです。そのためには、今までページごとにバラバラだったコンテンツの粒度を細かくバラし、共通項目を作ってデータベースに「再登録」し直す必要があります。ここに最もコストがかかります。

もし制作会社が「今のまますぐに移行できるのでコストがかかりません」と言ってきたら、それは「はなから1対多の高度な運用を諦め、単なる更新ツールとしてしか使えない状態で導入しようとしている」と考えたほうがよいでしょう。

ここで一度、CMSとは何なのかを根底から考え直してほしいと思います。私は十何年も前から「CMSは概念である」と言い続けてきました。

CMSとは、本来「コンテンツをユーザーのニーズに最適化するために利用すべきもの」です。Webサイトの根底、つまり底辺を支えるものであり、お客様への最適化を行うためにコンテンツを整理する、そのために導入するものなのです。

ですから、実は具体的なCMSツールを入れなくても、この一元管理の考え方自体はサイト制作に活用できますし、むしろそうやって作らなければなりません。これは「Webサイトを構築する上での概念」そのものと言えます。ツールを選ぶ前に、まずはこの概念に基づいて「Webサイトをどう構築すべきか」を考えてみてください。

「ユーザーのニーズに応えるサイトを作ろう」という強い意志を持ち、そのために「こんな機能や施策が必要だ」という目的が見えてくれば、どのようなCMS必要か(どのようなCMSが必要なのか)を的確に提案できるようになります。そうして選ばれたCMSこそが真の価値を発揮し、成果の出るWebサイトが完成するのです。

まずは、具体的な活用イメージとして次の4つの問いを投げかけてみてください。


どんなユーザーにどんなコンテンツを提供しようか?


それをできるだけ少ないクリックで提供できないか?


アクセスしてきたデバイスごとに、提供するコンテンツを最適化できないか?


ユーザーの今のシチュエーションを想像して、コンテンツを提供できないか?

これらはほんの一例にすぎず、お客様にもっと良いサービスを提供したいと考えれば、やりたいことは際限なく増えていくはずです。

しかし、それらをすべて手作業でこなすのは不可能です。この「手作業では限界がある」という局面に達したときこそ、初めてCMSの出番となります。

成し遂げたい目的さえ明確になっていれば、「それなら、このツールか、あるいはこれらを使えば実現できますよ」と, 選択肢をいくつか絞り込んで提案することができます。一つのツールに固執する必要はありません。「ユーザーニーズの最適化」という大前提があって初めて、CMSの選定や機能の活用が正しく進み、本当に価値のある使い方ができるようになります。

ですから、CMSツールを選定する上で最も重要なスタートラインは、まず「これをやりたい!」「これを成し遂げたいんだ!」という、お客様に対する強い想いなのです。CMSを導入することの本質は、単なる日々の運用・更新を楽にすることではなく、「CMSという一元管理の概念を実践すること」にほかなりません。

最初から完璧に実行できなくても構いません。「まずはこのレベルから始めましょう」と、段階的に進めていけばよいのです。

データが一元管理されていれば、将来的に「レコメンドエンジン」を組み込むにしても、高性能な「サイト内検索」を導入するにしても、あらゆる施策の展開が格段にスムーズになります。このメリットをぜひ念頭に置いてみてください。

私たちのメソッドには「ユーザー体験シナリオ」というものがあり、これがCMSを用いたWebサイト構築において非常に強力な武器になります。お客様がどのような導線でサイトを訪れ、どのように回遊すれば一番ハッピーになれるのか、そしてその瞬間ごとにどんなコンテンツを提示すれば喜ばれるのかを考えるメソッドです。

かつては、これらを手作業で一つひとつページを作り込んで対応していました。しかし、CMSを有効に活用すれば、わずか1ページや2ページのシステム管理だけで、ユーザーに応じた最適な中身をサッと出し分けることが可能になります。

しかも、細分化された共通コンテンツを使い回して配信できるため、同じ内容のコンテンツがサイト内に何重にも重複して存在するような無駄を完全に排除できます。

コンテンツを一元管理するステップにおいて、次に行うべき重要なフェーズが「共通コンテンツの洗い出し」です。極端な話を言えば、サイト内で共通して使い回すコンテンツが一切存在しないのであれば、CMSツールを導入する意味はなく、検討の対象外となります。

CMSツールとは、あくまでコンテンツの一元管理を強力にサポートするための仕組みです。そのため、そもそも一元管理する価値があるかどうかが問われます。前述したように、「既存のHTMLページをそのままそっくりCMSに放り込めばいい」という考え方であれば、CMSを入れる必要はまったくありません。ページ単位で独立したデータは、結局他の場所で二次利用できないため、使い物にならないからです。

CMSを導入する本当の目的は、商品情報や説明文、お問い合わせ、FAQといった「共通のパーツ」を、様々なページへ縦横無尽に配信することにあります。したがって、一元管理すべき共通コンテンツがないのであれば、導入は見送るべきです。まずは自社のサイトにどれほど共通化できるコンテンツがあるのか、そのボリュームをしっかり見極めてください。

もし共通コンテンツがほとんどなく、単に「日々のページ更新作業で困っている」というだけであれば、高価なCMSではなく、いわゆる「更新ツール」を導入するのが適切です。WYSIWYG(見たまま編集)エディタのように、特定の場所を書き換えるとそのページが直るようなシンプルな仕組みで十分に事足ります。

ですから、コンテンツを「1対1」で更新するものを「更新ツール」、データを「1対多」で配信して更新するものを本来の「CMSツール」と呼んで整理すると分かりやすいでしょう。

やりたいことを明確にし、「やはりコンテンツを一元管理したほうが良さそうだ」と判断が固まったら、最後に考慮すべきなのが運用の「スケーラビリティ」です。

具体的には、構築するWebサイトのページ規模や閲覧者の規模はどのくらいでしょうか。また、日々の運用に関わる担当者は何人で、最終的な承認者は何人体制になるでしょうか。組織としてどれほど複雑な承認フローを組み込む必要があるかも重要なポイントです。

さらに、複数のドメインをまたいでデータの一元化を行う必要があるかという点や、共通化したいデータの粒度(例えば、タイトル、写真、本文といった構成要素の細かさ )やデータの数、全体のボリュームも精査しなければなりません。そして、スマートフォンやPCなど多数のデバイスに向けて、リアルタイムで動的にコンテンツを出し分けるかどうかも大きな分岐点になります。

これらの「成し遂げたい目的(何をやりたいか)」と「現在の運用状況(こんな状況)」の2つをしっかりと整理して提示していただければ、「それなら、このツールか、あのツールの2択くらいに絞られますね」と、驚くほどスムーズに最適なシステムが定まります。

現在のCMSツールは、軽自動車のような個人用のブログツールから、マーケティング機能が統合された巨大なシステム、さらにはPIM(商品情報管理)のような高度な商品データ管理ができるエンタープライズ向けのツールまで、実に幅広く用意されています。

だからこそ、先ほどの「何をやりたいか」という目的と「スケーラビリティ」という状況の2つをしっかりと意識することが、皆さんに最適なツールを選び出すための確実な鍵となるのです。

本日のまとめになります。


「ユーザーニーズの最適化」こそCMSで成し得る(成し遂げる)ことだ。これが明確なら、ツール選択も自ずと明確になる。


これからのWebサイト構築のためのキーワード「いつでも、どこでも、誰にでも、簡単に」。


「お客様のためのツール導入」でなければ、Webサイトで成果を出すことはできない。すべては、お客様の問題解決のために!

最後までご覧いただきありがとうございました。

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