こんにちは、キノトロープアカデミーです。
「キノトロープアカデミー」は、Web業界のトップランナーである株式会社キノトロープの社員が講師を務めるオンラインアカデミーです。リモートワーク時代に不可欠な「個のスキル」を高め、職人のような「匠」を目指す人を増やしたい。そんな願いを込め、基礎から経営判断、業務フローまで、一生モノのナレッジを惜しみなく公開していきます。
やりたいことが明確でないWeb担当者に喝! 「なにを・いくらで・いつまでに」は制作依頼の必須条件【Web担当者必見!】
についてお伝えします。
担当は生田です。
喝!!編は「Web担当者Forum」というインプレスさんのWebマガジンに連載中の「生田昌弘のWeb担当者に喝!」というコラムをもとに、業界のダメなアレコレに喝!を入れます。まっとうなWeb担当者を目指すあなたへの叱咤激励メッセージです。
Webサイト制作において「何を・いくらで・いつまでに(目的・予算・納期)」を明確に決めて発注することは、Web担当者が果たすべき必須条件です。
何も決まっていない状態で制作会社に「いくらですか?」と尋ねるのではなく、自社サイトの「舵取り役」として目的や戦略を自ら描くことが、プロジェクトを成功に導く鍵となります。
”「なにを・いくらで・いつまでに」は制作依頼の必須条件”をテーマに、
今日お伝えしたいことは3つあります。
「いくらですか?」というのは、誰もが当然一番聞きたいことですし、Web担当者が確認したくなる気持ちも分かります。
しかし、普通に考えてみてください。「いくらですか?」という問いは、「これだけのボリュームやページ数を買うから、いくらになる」という前提があって初めて成り立ちます。
あるいは、「このくらいの成果を得るために、何をしたらいいだろうか?」という議論があって初めて、予算の検討や見積もりの話に進むものです。
大抵の場合、制作業界で一般的につらいのは、「これだけの予算で、こんなことをやってくれ」という、提示された予算ではなかなかできないような難しい話を受けることです。
私も普通の制作をやっていた頃は、日常茶飯事としてこのような話を受けていました。そして、これに対して「こう工夫すれば、ほぼ同じ効果のことが予算内でできるのではないか」という代案を提案することこそが、制作者の腕の見せどころです。
我々も「クライアントにそういう提案ができる制作会社になろう」と常々考えています。
ところが、現在のWeb業界の現状はそれ以前の問題です。普通の制作をやっていた人間がWebに来て一番驚いたことは、いきなり「いくらでできますか?」と聞かれることです。
「ホームページを作っていただきたいのですが、いくらですか?」「何か良い提案をお願いします。次第で予算を決めます」「とにかく結果を出してほしいです」
このように、中身があまり決まっていないうちに予算を決めようとするケースが非常に多いのです。これには制作会社側にも問題があり、「任せてください」「何でも提案しますよ」「こんな単価でやりますよ」と言ってしまう会社が多いため、お客様も「とりあえず予算が聞けるのではないか」と思ってしまいます。
車を買うにしても、軽自動車を買うのかフェラーリを買うのかで値段は全然違います。ビルを建てたいのか、一戸建てを建てたいのか、倉庫を建てたいのか、それによって金額が決まるのは当たり前の話です。どちらにしても、「何を目的として何をやるか」によって金額が決まることは間違いありません。
どんな制作業界でも、小さな予算で大きなオーダーが来るのは当たり前であり、それに対して良い提案をするのが我々の仕事だと思っています。でも、何も言わずに「いくらかかりますか?」とだけ聞かれるのは、制作業界の中でもWeb業界くらいだと思います。
キノトロープは上流工程からクライアント企業をサポートしているため、プロジェクトの立ち上げを支援して「成果」そのものを検討するような案件は珍しくありません。そこには、Web担当者が「こうあるべき」という姿が常に存在しています。
この「想い」が制作会社を動かします。「予算はないけれど、こういうことをやりたいんだ!」という熱い想いがあると、制作会社も「何とかしてあげよう」と思うものです。それなのに、単に「いくら?」とだけ言われても、普通の制作者だったら困ってしまいます。
いまやWebサイトは、企業のビジネスにとって大きなツールになっています。そこでどんなビジネスをやって、どんな成果を上げるべきかは企業の状況によって様々ですが、少なくとも「目標・目的」を明確にして、その方向性を決める「舵取り役」であることは、Web担当者の最もベースにある大事な役目です。
これをやっていないのであれば、それは「Web担当者」とは名ばかりで、単なる「Web作業担当者」になってしまっている場合が多いと思います。
Web担当者が絶対にやらなければならない重要な仕事として、少なくとも以下の5つが挙げられます。
目的・目標設定
Webサイトで成し得たいことを明確にします。大規模なサイトになるほど多くの人が関わるため「部分最適」になりがちですが、明確に「何を成し得るのか」を決めておかなければ、そもそも議論になりません。
戦略策定
Webサイトで、やるべきこと、やらないことを決めます。Webはできることが多すぎて「なんでもかんでもWebでやろう」とてんこ盛りになり、結局何もできなくなる場合が多いため、「やらないことを決めること」こそが戦略になります。
戦術策定
やるべきことの具体的な内容、予算、納期、成果を決めます。
効果測定
単にログを見ているだけではなく、成果を検証し仮説・検証を行います。
ガバナンス
大規模なサイトにおけるルールの策定や、それを守れるようにするための仕組み・システムの構築、資料作成を行います。各部署が部分最適で動かないよう、サイトの目的・目標を明確にして全体のルールを作る役割です。
これら5つの仕事を通じてWebサイトの方向性を決め、ガバナンスを制御することこそが、Web担当者の本来の仕事です。
では、実際にどうやって依頼したらいいのかというと、話は簡単です。「何を・いくらで・いつまでに」を決めてから発注していただければ、それだけの話です。これは外部に発注する場合だけでなく、内部に発注する場合も同じです。
本来であれば「RFP(提案依頼書)」を作成して出すのが一番ですが、Webが初めての場合や、日々の仕事が忙しい中でRFPを作るのは難しいのも事実です。もし難しければ、制作会社に「一緒に作ってほしい」と頼んでしまっても構いません。
ただし、その場合であっても、以下の3つだけは最低限必要です。
成し得たいこと(目的・目標)
予算
納期
RFPを書かなくても、この3つの項目を持って制作会社を訪ねれば、対応してくれるところはあるはずです。打診したときの反応を見れば、そこがちゃんとした会社かどうかを見定める基準にもなり、何社かに絞り込めるようになります。
何社かに絞り込んだら、ぜひお願いしたいステップがあります。それは、実際にその会社に足を運んで、担当する責任者に会うことです。距離が近ければ、会社の様子や、担当者の人となり・知識を事前に把握しておくことがベストです。
コンペ(競合プレゼン)をやる場合であっても、これは必要になります。なぜなら、Webサイト構築は二人三脚でやっていかなければならないため、人間同士としての「担当者との相性」がどうしても必要になるからです。
少なくとも、制作会社に対して「何をやるか考えてください」「提案内容を見て予算を考えます」という丸投げの姿勢はダメです。そんなことを言うと、「あんた誰?」という話になってしまいます。「目的」「予算」「納期」の3つだけでいいので、これだけは自分たちで決めてください。
もちろん、「まだ会社の稟議が下りていない」「これから会社に提案書を出して通す段階だ」という状態でも全く問題ありません。自分なりにこの3つを決めた上で、「一緒に会社の稟議を通しましょう」という話をざっくばらんに伝えてくれれば、協力してくれる制作会社は必ずあります。
また、制作依頼の前段階として、「プロジェクトを立ち上げるための手伝いをしてほしい」「収益性を算出して予算化するのを一緒にやってほしい」という相談もありです。少しコストを支払って予算化の支援を依頼すれば、制作会社としても非常に前向きに取り組みやすくなります。
「予算はこれしかないけれど、やりたいことがどこまでできるか?」という無茶な相談は、大いに言っていただいて構いません。「やりたいこと」と「予算」決まっていれば、その無茶に耐えうる制作会社はあります。ただし、きちんとコミュニケーションができるかどうかを見定めることは必要です。
なお、時折見かける「10社コンペ」などは、制作会社のモチベーションがかなり下がりますので避けていただきたいです。事前に相性や提案を見て、3社くらいまでに絞り込んでから決めてもらえるとありがたいなと思います。

の3点についての内容でした。
最後までご覧いただきありがとうございました。





