すべては成果のために

キノトロープのコンサル部でディレクター・コピーライターを務める白石と申します。

主にWeb担当者様に向けて、コンテンツ制作やコピー(文章)について書いていきます。よろしくお願いします。

キノトロープでも4月よりリモートワークを実施しています。

その準備段階でスタッフの自宅PC環境を調査したのですが、自宅にPCを持たない若い人が少なからずいることに驚きました。

端末と紐付いた顧客情報を保持していることで信頼度が高いとされる、LINE株式会社のレポート「インターネットの利用環境 定点調査」。その2019年上期版によれば、調査対象の半数以上(54%)、10代に至っては8割以上がスマホのみでインターネットを利用しています。

こうした状況は一般ユーザーの話としては腹落ちしていたのですが、私の身の回りにおいても「脱PC」が進んでいることを実感した瞬間でした。

こうした状況でWeb担当者が理解しておかなければならないのは、ユーザーの情報行動が変化しているということです。

今やスマホはPC並みの性能を備え、ユーザーは常にスマホを携帯し、問題が起こるとすぐに検索します。
会議中に新しいサービスの話題が上がると、その場でスマホ検索し、「これですか?」と画面を見せて確認する光景も、今ではさほど無礼とは感じないようになりました。

また、SNSでフォローしている人が愛用しているブランドを検索してECサイトに入ったことがあるという方も少なくないでしょう。

WebサイトがPC中心の時代から、ネットユーザーには「欲しい物、知りたいことだけ、手早く、正確に知りたい!」というニーズがありました。

その動きはスマホが浸透した昨今、さらに先鋭化しています。

「スマホファースト」とは、ブラウザやページデザインの話ではありません。

上記のように変化したユーザーニーズに最適化することこそ、本質なのです。

ではそのような状況に最適化したコンテンツとはどのようなものなのでしょうか?

ここでもスマホユーザーの行動に注目します。

まず言えるのは、PCと比べじっくりとコンテンツに向き合う機会は少ないということです。

皆さんも駅のホームでの待ち時間や、自宅でソファーに寝そべりながらスマホを眺めていることが多いのではないでしょうか?

このような状況でユーザーの関心をとらえるためには、「2秒で理解できるコンテンツ」であることが必須条件となります。

2秒で理解してもらうには、スマホのファーストビュー(ブラウザでWebサイトを表示したときにスクロールせずに最初に見える範囲)を最適化しなければなりません。

そのポイントは

の3点です。

2秒で理解してもらうには、当然、それより短い時間で表示されなければなりません。

Googleのデベロッパー向けコンテンツ「RAIL モデルでパフォーマンスを計測する」によれば、Webサイトで1,000ミリ秒(1秒)以上の遅延があると、人の脳は実行したタスクについて関心を失うとの報告があります。

ページの表示速度には、そもそものサーバのパフォーマンスやHTMLの記述法、画像圧縮などさまざまな要因が絡むため、ここで詳しく述べることは控えますが、自社Webサイトの表示速度がどの程度か把握しておくことは重要です。

Googleが提供しているツールPageSpeed Insightsでは、ドメインを打ち込むだけでWebサイトの表示パフォーマンスを評価してくれます。

一度試してみてください。

スマホ画面をパッと見てコンテンツの内容を把握してもらうために、最も目立つ文字列であるタイトルや見出しに注力します。

コンテンツは1ページ/1キーワードで書くのが基本です。

タイトル・見出しともにキーワードを盛り込み、コンテンツの内容が端的に伝わるようにします。
本文は読み飛ばされる前提で、タイトル・見出しだけ読めば大筋でコンテンツの内容を把握できるのが理想です。

書籍の世界では「速読法」というテクニックがありますが、それをアシストしてあげるような感覚です。

文字数(行数)も最適化します。

フォントサイズにもよりますが、タイトルは32文字(16文字×2行)、小見出しは20文字(1行)に収めると、大抵のスマホ端末の画面サイズに対応できるはずです。

広告の世界では「キャッチコピー」という形で人目を引くための文章術が磨かれてきました。
その手法をタイトルや見出しに取り入れるのも有効です。

以下にヒントを記しておきます。

写真はユーザーの感情に訴え、ニーズをウォンツに変える重要な要素。ファーストビューには必ず写真を配します。

その際に気をつけるべきは以下の2点です。

MVは質の高い写真を使う必要がありますが、単に美麗な写真というだけではダメです。

良くないのは、実際の商品やサービスとかけ離れたイメージを使ってしまうこと。
タイトルや見出しの内容に沿った写真でなければ、意味がありません。

PC表示を前提としたWebサイトのTOPページでは、横一面の引きの写真がリッチな表現としてよく使われていました。
が、それをそのままスマホに流用すると、単に小さくて見づらい写真となってしまいます。

スマホでは縦一面の写真を使用する、説明写真は寄るなどの対応が必要です。

またファーストビューで重要なのは、画面下にスクロールしたくなるグラフィック要素を配することです。

例で言えば、ユーザーは「丸の内ってオシャレらしいけど、どんなところだろう?」と期待に胸を膨らませてページを訪れるわけです。

その際に、メインビジュアル以外は文字だらけだったとしたら、どう感じるでしょう?

ユーザーをガッカリさせないためにもリード文の文字数を調整し、2枚目の写真を「チラ見せ」してあげることが大事です。

「スマホファーストに最適化したコンテンツ」について、主にファーストビューの観点から記しました。

今回は私が手掛けた近畿日本ツーリスト様の特集コンテンツを例に挙げましたが、タイトルの文字数や写真の大きさなどを規定したページのテンプレートをあらかじめCMSで作っておいて、それに沿ってコピーや写真を投入できると便利ですよね?

次回はコンテンツの文章構造の最適化にフォーカスします。

白石 裕一朗

執筆者

白石 裕一朗

コンサル部

セクションチーフ/ディレクター、コピーライター

2018年キノトロープ入社。『Sound & Recording Magazine』『Red Bull Studios Tokyo』をはじめ、20年以上にわたり出版界で編集者・ライターとしての研鑽を積んだのち、Web業界に転身。コピーのスペシャリスト。売るための最終兵器はコピー、それはWebでも変わらない。そのための技術はもちろん、「伝え方」の本質にまで踏み込みます。