コンテンツをチェックしていると、「これ本当に必要かな?」という文章が、とても気になります。
具体的には、「実は何も伝えていない文章」「雰囲気に流されている文章」です。
今回は、そのような文章がどう生み出されているのかについて考察します。
弊社では現在、ポストコロナを見据えた人材募集を行っており、私も募集要項のコピーを書いたりしています。
もしあなたが企業の「採用情報」ページを閲覧していて、次のような一文に当たったら、どう感じるでしょうか?
私でしたら、この会社には応募しません。その理由は次の2点。
ここでの問題は、「素晴らしい」という形容詞が単独で使われている点です。
形容詞は、その多くが筆者個人の感想であり、他人(読者)には理解しにくいもの。
ここでは「素晴らしい」という形容詞を、以下のように具体的な事象に置き換えることが必須です。
「素晴らしい」という形容詞単体では、コンテンツとしての要件を満たしません。
ユーザーが必要としているのは、個人の感想ではなく具体的な情報なのです。
ですから、数字を入れると、より説得力が増します。
弊社スタッフが書いた旅行系のコンテンツをチェックしていて気になるのは、以下のような文章です。
いかにも「文字数を稼ぐための一文」という感じで、弊社では修正の対象となります。
その理由は、ここでも「様々な」の具体的な内容が書かれていないため、「一見もっともらしいが、何も伝えていない文章」になってしまっているからです。
このような場合、下記のように修正します。
ここも具体的な地名や商品名(新しいもの・ありきたりでないもの)が「情報」になります。
また、スポット名や商品名がキーワードとして入ることで、SEOにも効果が期待できます。
例文をもっとビジネス寄りにするならば、「経験豊富なスタッフが、様々なニーズに対応します。」といった一文も、実は何も伝えていないことがお分かりでしょう。
ことわざや慣用句をきちんと使える人は、「教養がある人」として、個人的に憧れます。
しかし、読者のリテラシーを考慮せずに使用すると、その言葉を知らない人にとっては、「意味の通らない(≒不必要な)文章」となってしまいます。
「他山の石」とは、「他人の失敗や間違いを、そうならないための教訓にする」という意味です。
周りのスタッフ3名(20~30代)に尋ねてみましたが、2人はこの言葉自体を知らず、もう1人は「他人の良い行いを参考にすること」と誤解していました。
そうしたユーザーも読むことを想定するなら、
と書く方が、遥かに正確に意味が伝わるでしょう。
慣用句の問題は、雰囲気で「上手に書いた!」と思いがち・思われがちな点です。
「うまい言い回し」に酔うより、「この言い方で本当に伝わるだろうか」と考えるべきです。
Webサイトにユーザーが欲する情報が分かりやすく記されていれば、それが満足体験につながり、ひいてはSEOに有効であることは、前回の連載で述べた通りです。
「自分が書きたい文章」は、ブログやSNSで好きなだけ書いていただいて結構です。
ただし、実務的なWebサイトにおいては、「ユーザーに情報を正確に伝える」視点が必須となります。
ライティングに入る前に、「自分は何のために書くのか」と、あらためて自問すると良いと思います。